年賀状などの年始の挨拶に使用される「元旦」と「元日」の言葉。1年のはじまりの日を示す言葉として何気なく使っている人も多いと思いますが、じつはそこにはちょっとした違いがあります。
もしかしたら間違った使い方をしていることがあるかも!元旦と元日の違いとその意味、年賀状で使う場合の正しい使い方や注意したい表現、すてきな一年を迎えるために知っておきたい元旦の風習や行事についてわかりやすく解説していきます。
元旦の意味は?いつを指す?
元旦の意味は「1月1日の朝」です。漢字の「元」は「はじめ」、「旦」は水平線(ー)から陽(日)が登る様子に由来して「あさ、夜明け」という意味を持つことから、元旦は1年のはじまりの日の朝を表します。
元旦と元日の違い
元日は1月1日の朝から夜まで。同様の意味でつかわれることが多いですが、朝だけを指している元旦と違って元日は丸1日を指します。
そうなると「元旦の朝」や「元旦の夜」といった表現は間違いじゃないの?と思いますが、元日と元旦の違いには諸説あり、元旦を元日と同じとしている辞書や実際にそういった表現が使用されることもあるので、一概に間違いとはいえません。
「一月一日元旦」は重複表現!
気を付けたいのは、「一月一日 元旦」や「一月一日 元日」などの表現です。元旦や元日はどちらも日付を表す言葉になるため、こちらは重複表現になります。
日付で書きたい場合は「令和〇年 一月一日」のみとしましょう。
年賀状に書くのは「元旦」が一般的
年賀状の末尾に書き入れる日付は、通常元日の朝に手元に届くことから「令和〇年 元旦」と書くのが一般的です。もちろん1日を示す「元日」でも問題ありませんが、朝を表す「元旦」という言葉の方が、挨拶がよりリアルタイムに感じられたり、朝一番に手元に届くようにと込めた思いが伝わりますよね。
年賀状に「令和〇年 元旦」と書いた場合に注意したいのは投函日です。元旦と書いたからにはもちろん1日に届くように投函する必要があります。元旦に配達してもらうために12月25日までにポストに投函しましょう。
年賀状が元旦に届かないときはどう書く?
25日までの投函が間に合わなかったり、届くのが1月2日以降になる可能性が高かったりする場合は、あえて日付を指定しない書き方をするのがおすすめ。
間に合うかどうか不安なときは元旦や元日を使わず、「令和〇年 一月吉日」「令和〇年 新春」「令和〇年 初春」といった言葉に代えておくと安心ですよ。
元旦にすること(行事・風習)
古来から元旦には「年神様(としがみさま)」という、各家庭に1年の幸福をもたらす神様が現われるといわれています。お正月に行われる行事や風習は、その年神様をおうちに迎え入れるためのもので、それぞれに意味があります。
ここからは元旦の行事や風習について、それぞれにどんな意味があるのかをおさらいしてみましょう。
初日の出
1月1日の日の出を表す初日の出。なんとなく縁起が良さそうというイメージから初日の出を見に行っているという人も多いはず。
年神様は初日の出と共に現われるとされているため、イメージ通り縁起が良いのはもちろんのこと、日の出を拝むことは年神様へ旧年の感謝と新年の幸福を祈るという意味があります。
初詣
年が明けてからはじめて神社やお寺にお参りをする初詣。こちらは年神様ではなく、氏神様(同じ地域に住む人々によって共同で祀られている神様)に旧年の感謝と、新しい年の幸せを願うための行事です。
初詣のはじまりは家の主が大晦日の夜から元旦まで氏神神社に籠る「年籠り(としごもり)」という風習からはじまりました。旧年の感謝を伝えて新年の幸福を祈る儀式のひとつでしたが、そのうち大晦日の夜の「除夜詣(じょやもうで)」と元日の朝の「元日詣(がんじつもうで)」に分かれ、元日詣が今の初詣になったといわれています。
おせち
家族みんなでおいしくいただくおせち。おせちはもともと、年神様へのお供えものとして生まれた風習です。新年の幸福を祈って年神様にお供えし、年が明けてから神様の神気が入ったお下がりとしておせち料理をいただくことで、神様の力を取り入れられるものと考えられていました。
福が重なるようにと重箱に詰められたおせち料理には、ひとつひとつに家族の健康や繁栄への願いが込められています。
お屠蘇
お屠蘇(おとそ)は元旦に飲む薬酒です。由来には諸説ありますが、「屠(と)」には「切る、バラバラ」にするといった意味があり「邪悪なものを屠(ほふ)り良い気を蘇らせて無病長寿を願う」といった意味があります。
地域によっては日本酒を飲むところもありますが、正式には日本酒やみりんに屠蘇散(とそさん)と呼ばれる複数の生薬を漬けこんだものがお屠蘇と呼ばれています。市販の屠蘇散(とそさん)を使えば家庭でも簡単に作ることができます。
お年玉
お年玉袋に入れたお金を子供たちに配るお年玉は、もともとはお金ではなく、家の主が家族に餅玉を配っていたことがはじまりです。餅には年神様が宿るとされていたことから、魂が宿った餅玉(餅魂)を家族に「御年魂」として分け与えることで、新たな1年を生きる力となると考えられていました。
それがいつからか物やお金を渡すようになり、昭和の中ごろから子供を中心にお金を配ることが定着したといわれています。
元旦にまつわることわざ
「一年の計は元旦にあり」という、1年のはじまりにぴったりなことわざがあるのをご存じですか?直訳すると「一年の計画は元旦に立てるのが良い」という意味です。
間違われやすいのですが、「1年の計画を立てるときには元旦に立てなければいけない」ということではありません。
ものごとははじまりが肝心で、まずは計画を立てて着実に進めることが大切だよいうことの例えです。元旦に限ったことではありませんが、有意義な1年にするためにも新しい1年の朝に目標を掲げてみるのがおすすめ。
年神様を迎える朝に立てる計画は気持ちも上がって、なんだかいろいろなことが上手くいきそうです。
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新しい1年のはじまりの朝を表す元旦の言葉。情景が思い浮かぶような漢字の成り立ちも日本語ならではでとっても面白いですよね。元旦の言葉に思いを込めて、おやこですてきな年賀状を送ってくださいね。
また日本にはお正月だけでなく、年末からお正月にかけておこなう行事や風習もたくさんあります。ぜひ年末の行事も子供と一緒に楽しんでくださいね♪