何度片付けるように言ってもキリがなく、諦めてさっき自分が片付けたはずのおもちゃが数分後にはもうすでに床にいっぱいに散らかっていて呆然…。親なら誰しもこんな経験があるもの。 そんなお悩みを持つママパパに、保育園や学童保育で子供が自分で片付ける収納方法を考えてきた、保育士経験があるライター・木下美紀がおもちゃの片付け方法のコツを伝えます。
子どもがおもちゃを上手に片付けるようになるテクニック
「保育園ではちゃんとみんなでおもちゃを片付けてますよ~」と保育士に言われ、「なぜ家では片付けてくれないの!」と親は思いますよね。 ちょっと待ってください! 少しの工夫で驚くほど「お片付け上手な子」になるテクニックをお伝えします。
「片付ける」とは何か?正しく伝わっていますか?
子どもに「おもちゃを片付けなさい!」と言っても、遊びに夢中な子どもたちは「片付いている元の状態」を覚えていません。「お片付けとは元の位置に物を戻すこと」そのことをまずくり返し伝えましょう。
おもちゃの元の位置がわかる工夫をするだけで子どもは 「なーんだ、元の棚に戻すだけならカンタンだ」 と思ってくれることも。年齢が低いうちは同じ場所に戻す、これを徹底的に練習していきましょう。
そして、できたら必ず「お片付け上手だね。おかげできれいになったね」とほめましょう。お片付けは気持ちいいと思うようになれば、自分から片付けができるようになります。
年齢に合った片付けかたを教えよう
「お片付けとは元の位置に物を戻すこと」と書きましたが、同じ場所に物がぐちゃぐちゃに詰め込んであることを片付けているとはいいませんよね。
2~3歳くらいになれば、色の識別や数種類のグループを見分けることができるようになりますし、整理整頓もできるようになります。
たとえば、黄色の箱はレゴブロックを入れる、青の箱は電車、赤の箱はおままごとのものなど、ルールを決めてあげましょう。
また2~3歳くらいになると、理由がわからないと動けない子も出てきます。その場合は「なぜお片付けは必要なのか」を話してあげましょう。ブロックを踏んで足がとても痛かった、遊んだおもちゃに気づかず上に乗ってしまい、壊して使えなくなってしまったなど、お片付けをしていたら防げていたことを伝えるとわかりやすいですね。
時には失敗をすることでお片付けの大切さに気づくきっかけになることもあります。失敗した時こそ学ぶチャンスですので、叱らずに説明してあげてください。
子供が自分で片付けたくなる声かけをしよう
保育園では片付けていると聞くのに、家ではなぜ片付けないのでしょう?
園での片付けは、「時間を決めてゲームのように片付けの時間を決めて行う」「先生も一緒に片付けに参加して、種類分けの難しいところはサポートをする」「本棚はすべて雑誌置き用の棚を使って表紙が見える形で場所を写真に貼っておく」などさまざま。
一番大切なことは「先生が一緒に」行っていることです。子ども一人で片付けさせようと、親が何もせずに声かけだけをして見守っていることが多いのではないでしょうか? 子どもが「自分で片付けるぞ!」と、やる気スイッチが入るまでは親も一緒にお片付けをするということは重要ななことです。
おもちゃの量を見直そう
おもちゃの場所を決めることが大切な一方で、しまう場所がなければ片付けることはできません。
今度はお家にあるおもちゃを見直してみてください。数や種類が多くなりすぎて元の位置がないものはないでしょうか?
増えすぎたおもちゃはバザーやフリマアプリ、中古販売店などをうまく利用して整理していきましょう。
もちろん思い出のあるおもちゃは無理やり処分する必要はまったくありません。できる範囲で行っていきましょう。
おもちゃを買う時のコツ
どうせおもちゃを買うなら、対象年齢が長いものを買いたい。そう考える親は多いと思います。確かに保育園によく置いてある積み木、ブロック、パズル、磁石式の積み木など、保育士目線で言えば、長く遊べるおもちゃは沢山あります。
でも子どもが欲しがっていないものを買うのは逆効果なことも…。対象年齢はあくまで参考に過ぎません。せっかく買ってあげたのに子どもが使わないまま終わってしまう可能性があります。
おもちゃの購入を考えたらまず、園の先生にお子さんがふだんどんなおもちゃで遊んでいるか聞いてみてください。必ず頻繁に遊んでいるお気に入りのおもちゃがあると思います。あくまで子どもが気に入っているものでないと、保育園で気に入ってよく遊んでいるものなら家でも遊ぶでしょうし、子どもは自分が好きなものは大切に扱ってくれるでしょう。
おもちゃの収納方法
おもちゃの収納方法は、棚やボックス型の引き出しなどさまざまですが、子供が片付けやすい収納とは、ひと目で見て場所がわかることです。
あまりに細かくルールを決めすぎてしまうと、かえって「片付けってめんどうくさいなあ」と子どもに思われてやらなくなってしまいます。 では、どうやってわかりやすくするのかみていきましょう。
1.おもちゃ1~3つにつき、1つの場所を決める
ラベリングなどでわかりやすく「トランプやカードゲーム、UNOはここ」など、種類の似ているもの同士でグループにします。
2.ブロックなど形や色が似ているものは収納箱を色や形で分ける
大人から見ると、全然形状は似ていませんが、レゴブロックや学研のニューブロック、ブリストルブロックなど、ブロック類は子どもたちが混同して片付けてしまうことが多いようです。
そんなときは、色のついた箱を使って遊ぶエリアを最初から混ぜないように離して遊ぶようにします。特に1~2歳のときに別のブロックで遊ぶときは、一度片付けをしてから新しいブロックで遊ぶ、などのルールを決めておくといいかもしれません。
3.ケースや収納箱を選ぶ
おもちゃをしまう入れ物は、ケースでも箱でもどちらでもいいのですが、必ず取り出しやすく、片付けやすい形状の物を選びましょう。
ブロックなど「大・中・小」など大きさが分かれているものは、3段ケースを使い、一番下は小さいもの、一番上は大きなもの、などざっとルールを決めておきます。
しまう場所が違えば、引き出しが閉まらないので、分類分けが間違っていることがすぐわかります。
ボックス型ケースを使う場合も同じです。分類分けがうまくいっていないとフタが閉まらないので、必ずフタをつけるようにしてください。 **子どもたちが自分たちで考えてなぜ閉まらないのか、どうすれば片付けられるかみんなで一緒に考える時間になります。
ざっくり置き場を作っておく
子供にだって用事があって、すぐにおもちゃを片付けられない時があります。そんなときは、ざっくりと「一時保管場所」を作っておくことも大切なことです。
せっかく始めたお片付けの途中で、その作業を中断させられるのも、子供にとってはストレスに感じます。 一時保管場所があれば、用事を済ませてから、続きをすぐに再開することができるのです。
保育士がおすすめするおもちゃ収納棚とケース
それでは、おすすめのおもちゃ収納棚とケースを5点ほどご紹介します。ポイントは、「子供が片付けやすい」ことです。
アイリスオーヤマ チェスト ワイド 3段 日本製 完成品
サイズ:幅54×奥行40×高さ62.5cm
透明で外から状態が見やすく、引き出しのサイズによって、間違った分類分けがすぐわかるため、子供でも片付けしやすいでしょう。3段のほかに、4段と5段のものもあります。
LOWYA ロウヤ おもちゃ収納 絵本棚
サイズ:幅82x奥行29x高さ89cm
曲線がかわいらしいこちらの棚は、ネット通販専門の家具店「LOWYA」のもの。絵本のスペースに写真を貼れば子供がわかりやすく片付けられますよね。右下の部分は、動くワゴンが入るタイプもあります。
IKEA/イケア トロファスト:収納コンビネーション ボックス
サイズ:幅: 99 cm×奥行44 cm×高さ56 cm
子育て中の家庭でもおなじみのIKEAのトロファストは、保育士目線でも優秀!カード類や文房具は小さな棚、ブロック類は下の箱などわかりやすく、分類を間違えた場合に引き出しが閉まらないのでおもちゃのしまう場所を間違えにくく、片付けやすいでしょう。
Umi(ウミ)-収納バスケット 収納ボックス 3個セット
サイズ:幅34x奥行22x高さ17.5 cm(Lサイズ)
幅28×奥行17.5×高さ15.5cm(Mサイズ)
幅23×奥行13.5×高さ13.5cm(Sサイズ)
シンプルな収納バスケット3個組です。箱の大きさがそれぞれ違うので、それぞれにラベリングしておけば一目で子どもにもわかります。口が大きく開くので、ポンポン入れやすく片付けやすいのもポイントです。
shopwithgreen ビルディングブロック収納ボックス
一目でブロック収納とわかりやすいコンテナです。フタが色分けされているので、色や種類で分類して使うといいでしょう。重ねて置いておくことができるのもうれしいポイント。ケースの角は丸くしてあるので、安全面でもおすすめです。
おもちゃの片付けの前に写真を取ってあげよう!
親からすればおもちゃはできるだけ早く片付けてほしい。という気持ちがあると思いますが、子供は「こんなステキなものを自分で作れたのだから、ママに見せてから片付けたい」と思う子も多いようです。それなのに、ママやパパがおもちゃを見る前から「片付けなさい!」と、大きな声で叱ったとしたら、子供はとても悲しいですよね。
保育園の保育士は、「お片付けの前に写真を撮ってママに見てもらおうか?」と言って写真に残してあげることがあります。そうすると、すんなり片付けを始めてくれる子どもも多いの。
おもちゃが散らかるのは大変だけど、子供にとっては自分が作り出した世界にたったひとつしかない宝物です。
その気持ちに寄り添ったうえで、お片付けを一緒にできれば子供にとってお片付けも楽しいことの一つになります。
けれども、 子供がどうしてもお片付けに気分が乗らないときもあると思います。そんなときは、「今日だけ片付けるね」など、声をかけてあげてください。保育園で嫌なことがあったときは、帰宅後も落ち込んでお片付けができないこともあります。
そんな日があってもいいのです。少しずつ気持ちの切り替えもお片付けも上手になってくるときが必ずきますよ。