こんにちは!毎日2人の子供に絵本を読み聞かせているごっこランドTimesライター、南尾優香です。
桃太郎といえば、川から流れてきた桃から生まれた男の子がきび団子を持って、3匹の動物(犬・猿・雉)と鬼退治に行く話ですよね。
私もさまざまなバージョンの桃太郎を、娘たちに読んできました。
今回は桃太郎について気になる小話、知っているとより楽しめる裏話を集めてご紹介します。
桃太郎の原作は怖い?あらすじを紹介
桃太郎の原作は、室町時代末期〜江戸時代初期ごろに、日本全国それぞれの場所で語り継がれた物語が集まってできたといわれています。
基本的には怖い話ではなく、地方によって桃太郎の生まれ方や性格、宝物の内容、お姫様が出てくるかどうかなどが異なります。
昔の桃太郎のあらすじも、「桃太郎という男の子が、おじいさん・おばあさんからもらったきび団子を持って犬・猿・雉と鬼ヶ島へ行く」というものです。
現在の桃太郎と、大筋は同じと考えてよいでしょう。
なお、「桃太郎」という題名で多くの人に読まれる本になったのは、江戸時代だそうです。
桃太郎の生まれ方|原作ではおじいさんとおばあさんが若返るの?
「桃太郎は桃から生まれていない。若返ったおじいさんとおばあさんから生まれた」という話を聞いたことのある方がいるかもしれません。
先ほど説明したように桃太郎にはさまざまな話があるため、桃太郎が桃から生まれていないパターンもあります。
ここからは、桃太郎の生まれた方法を3パターン紹介します。
桃を食べた夫婦が若返って子供をもうけたという話
江戸時代に作られた桃太郎は、桃を食べて若返った夫婦から生まれるパターンが多く見られます。
「桃太郎は桃から生まれていない」というのは、この話を指します。
なぜ桃で若返ったのかを調べたところ、桃は神聖な果物だとされていたからだそう。
古い中国の伝説や、日本の「イザナギノミコトの伝説」などでも、桃は邪気を払い不老不死を与える「霊薬」であるとされているそうですよ。
川から流れてきたという話
このパターンは、「桃太郎は川から流れてきた桃から生まれた」という、現在の一般的な桃太郎です。
桃から生まれる桃太郎の話は江戸時代にはあまり見られず、幕末〜明治時代が近づくにつれて多く見られるようになります。
各地の伝承では、川から桃ではなく赤い箱と白い箱が流れてきて、赤い箱を拾ったら赤ん坊が入っていたという説や、箱のなかに桃が入っていたという説もあるそうですよ。
なお、川から流れてきた桃が割れる方法も所説あります。
多いのは「桃を切ったら桃太郎が生まれた」という話ですが、タンスや戸棚、臼に入れておいた桃が自然に割れたという話もあるそうです。
夫婦が神仏に頼んで子供を得たという話
桃太郎の一番古い原作ともいわれる「太郎物語」(1600年)では、子供のできない夫婦が神仏に頼んだところ、男の子が生まれたと書かれています。
子供のいない夫婦が神仏に頼んで子供を授かるのは、お椀に乗って川をくだるエピソードが有名な一寸法師とも共通しますね。
全国各地に子授け神社があることを考えると、子供のできない夫婦が神仏に祈るのは昔からよくあることだったのかもしれません。
本当の話|桃太郎の鬼の正体は?岡山県の伝説を紹介
桃太郎ゆかりの地として知られる岡山県には、桃太郎伝説として「吉備津彦(きびつひこ)と温羅(うら)」という物語があります。
この伝説では、桃太郎の鬼は百済(くだら:朝鮮半島の国)の王子だったとされています。
伝説の内容は、以下の通りです。
昔、大和の国に桃太郎という王子がおり、吉備の国にある鬼ノ城に住む鬼「温羅(うら)」を退治しました。
退治して何年かしたある日、温羅は鬼ではなく人間だったことを桃太郎は知ります。
温羅は鉄の道具を作る技術に優れ、ふもとの村では人々に慕われる存在だったのです。
真実を知った桃太郎は深く後悔し、吉備津彦と名を改めこれからの人生を吉備の国に尽くすと誓いました。
この伝説は大和朝廷と、当時の岡山を治めていた吉備の国の争いがもとになったといわれています。
歴史と物語に深いかかわりがあるのは、非常におもしろいですね。
後日談|桃太郎のその後が壮絶ってホント?
題名 | 発行年 | 内容 |
---|---|---|
1777年 | 鬼ヶ島から桃太郎についてきた白鬼は、桃太郎の召使いの女の子おふくと恋人同士になります。 ところが、白鬼の婚約者と名乗る女鬼が現れておふくは大激怒。 おふくは角のある大蛇に変化し、大変な騒ぎになってしまいます。 |
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1779年 | 鬼ヶ島から戻った桃太郎は、ひょんな事から再び鬼ヶ島に行くことに。 しかし桃太郎が向かったのは、江戸で有名な遊郭・吉原。 桃太郎は遊郭の女性と結婚し、二代目桃太郎が生まれて幸せに暮らしました。 |
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1784年 | 鬼たちは、桃太郎に復讐しようと美人な鬼の娘おきよを召使いとして送り込みます。 しかし、おきよは働いているうちに、桃太郎に恋をしてしまいます。 桃太郎を好きな気持ちと、桃太郎を殺す使命の板挟みになったおきよは、自害してしまうのです。 |
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1924年 | 桃太郎は宝物といっしょに鬼の子供を人質として連れ帰ります。 鬼の子供は一人前になると、番人の雉を噛み殺して鬼ヶ島に帰ってしまいます。 その後桃太郎は。鬼に命を狙われ続ける人生になったそうです。 |
「鬼を退治した桃太郎は、その後どのように暮らしたのだろうか」と思う方も多いですよね。
上にまとめた桃太郎の後日談はすべて、それぞれの作家が想像した二次創作です。
桃太郎が幸せに暮らす話もありますが、鬼を退治したせいで起きたトラブルを描くものがよく見られます。
現代でも桃太郎の後日談は作られています。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
子供と楽しめる!桃太郎のおすすめ絵本4選
子供と楽しむのにおすすめな桃太郎の絵本を、4つご紹介します。
力強い絵が特徴|福音館書店「ももたろう」
福音館書店 | |
1965年 | |
松居 直 文 ・赤羽 末吉 画 | |
40ページ |
福音館書店の「ももたろう」は1965年に発行され、長く愛されている絵本です。
絵は桃太郎の力強さが伝わる、昔話らしい素朴なタッチ。お姫様を助ける形で話を締めくくるので、女の子にも好評です。
わが家の長女は、この桃太郎を何度も図書館で借りていました。
桃太郎の代表作として、一度は読んであげたい1冊です。
かわいらしいイラストで小さな子にも読みやすい|岩崎書店「ももたろう」
岩崎書店 | |
2001年 | |
いもとようこ 文・絵 | |
22ページ |
岩崎書店の「ももたろう」は、いもとようこさんが文章・イラストの両方を手掛けています。
簡単な言葉で書かれているのでわかりやすく、かわいらしいイラストも小さな子供にぴったり。
プリキュアの悪役シーンを怖がる次女は「鬼が出てくる絵本は怖い」といいますが、この桃太郎は喜んで聞いてくれました。
怖がりな子にもおすすめな1冊です。
歌って楽しい!|赤ちゃんとママ社「うたう!ももたろう」
赤ちゃんとママ社 | |
2019年 | |
スギヤマカナヨ作・絵 | |
32ページ |
「うたう!ももたろう」は、全編を歌に載せて読める桃太郎です。
歌のリズムは「ももたろさん、ももたろさん♪」の有名な童謡なので、親子でいっしょに歌いながら楽しめます。
もちろん普通の絵本として読んでも大丈夫。オリジナル要素も含まれるため、変わり種の桃太郎として取り入れるのがおすすめです♪
日本の昔話を網羅!|日本の昔ばなし20話
Gakken | |
2011年 | |
西本鶏介・長谷川彰 文 コダイラヒロミ・たちもとみちこ絵 |
|
144ページ |
「日本の昔ばなし20話」は、ももたろう、うらしまたろう、かぐやひめなどの有名作品20作がコンパクトにまとめられています。
色々なお話を楽しめるため、コスパは抜群。ぜひ家に置いておきたい1冊です。
1話が長すぎないので、寝る前の読み聞かせにもぴったりです。
桃太郎の真実に関するギモンにお答え!
ここからは、桃太郎の真実に関するよくあるギモンにお答えします。
現在の桃太郎になったのはいつごろ?
現在とほぼ同じ形の桃太郎は、明治時代の国語の教科書に「桃太郎物語」として掲載されています。
江戸時代までの桃太郎は、服装も話によってさまざま、動物たちも「旅の道連れ」という形で上下関係なくお供をしていました。
しかし、明治時代からの桃太郎は、ハチマキに陣羽織、犬・雉・猿を「家来」として従える現在の形で描かれています。
また、戦争中は「勇敢さ」の象徴として、戦後は「民主主義」の先駆として語られるなど、桃太郎は日本人の手本として多く取り上げられてきました。
戦争中は桃太郎を当時の大日本帝国、鬼を戦争の相手国ととらえることもあったそう。
「桃太郎を隊長とする部隊が、鬼(敵国)を攻撃して戦果をあげる」という内容の映画も作られたそうですよ。
桃太郎のお供が犬・猿・雉なのはなぜ?
なぜ、桃太郎のお供が犬・猿・雉なのかを考えたことはありますか?
じつは、お供の動物にも2つの説があります。
「鬼門」に関係しているから
ひとつ目の説は、縁起の悪い方角である「鬼門」に由来するというものです。
「鬼門」とは北東の方角を指し、鬼や邪気などの悪いものが出入りするといわれています。
そして、鬼門の反対方向である「裏鬼門」に位置する十二支(十二支は方角を表す意味もあります)が、戌(犬)・酉(鶏=雉)・申(猿)です。
「鬼門(=鬼)」を抑えるものとして、犬・雉・猿が選ばれたそうですよ。
岡山県の伝説に出てくる人物に由来するから
ふたつ目の説は、岡山県の桃太郎伝説「吉備津彦と温羅」に登場する、桃太郎の家来(人間)に由来するというものです。
桃太郎伝説では、温羅退治には3人の家来がお供します。
- 犬飼健(いぬかいたける):犬のように忠実で、敵に勇敢に向かう
- 楽々森彦(ささもりひこ):猿のように知恵が働き、道案内でも役に立つ
- 留玉臣(とめたまおみ):雉のように忠誠心が高く、主に尽くす
3人の名前と性格から、それぞれ「犬」「猿」「雉」と動物に例えて呼ばれるようになったと伝えられているそうですよ。
桃太郎の鬼は悪くないってホント?
「桃太郎の鬼は悪くない」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
現在の桃太郎は、「悪い鬼を退治するために鬼ヶ島に向かう」という内容ですよね。
しかし、江戸時代までの桃太郎には、「鬼の宝物を得るために鬼ヶ島に向かう」という内容のものが多く見られました。
「宝島に宝物を探しに行き、番人の鬼を倒す話」とイメージすると、わかりやすいかもしれません。
桃太郎はもともと伝承物語。物語の根底には「宝物を得て豊かに暮らしたい」という庶民の希望があるのです。
とはいえ、何も悪いことをしていない鬼の宝物を奪うなら、むしろ鬼は被害者ともいえますね。
その後時代が進み、「何もしていない鬼の宝物を一方的に奪うのは良くない」という考えが広まり、「悪い鬼を退治する桃太郎」が一般的になったそうです。
桃太郎から得られる教訓は?
もともとの桃太郎は庶民が楽しむ物語だったので、教育的な意味はあまり含まれていません。
しかし、現代版の桃太郎からは以下のような教訓を感じ取れます。
- 悪い人(鬼)はこらしめられ、正義は勝つということ
- 難しいことも仲間と力を合わせれば乗り越えられること
物語を楽しみながら、仲間と力を合わせる大切さを子供に教えてあげるのもよいですね。
桃太郎のおじいさんが芝刈りをしていないってどういうこと?
「おじいさんは山へしば刈りへ、おばあさんは川へ洗濯に行きました」というのが桃太郎の書き出しですよね。
現在は「しば刈り」といえば庭やグラウンドの芝生を刈ることですが、昔話では燃料にする「たき木」を取りに行くという意味で使われています。
この場合のおじいさんは、「芝生」を刈るためではなく、燃料にする「たき木」を取りに行くために山に向かったということです。
「しば刈り」に2つの意味があるのは、興味深いですね。
桃太郎の真実を知りさらに物語を楽しもう
昔話として有名な桃太郎も、調べるとさまざまな裏話があるとわかりました。
現在出ている桃太郎の絵本も、本によって少しずつ内容が異なります。ぜひチェックして親子で楽しんでくださいね。
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